第2回 物件価格だけで決めない資金計画

―「買えるか」より先に、「どんな暮らしをしたいか」を考えましょう―

 

新築マンションを探し始めると、まず気になるのが物件価格です。しかし、広告に表示されている価格だけを見て購入を判断するのは危険です。マンション購入後に負担する住居費は、住宅ローンの返済だけではありません。管理費や修繕積立金、駐車場代、固定資産税などを含めた「住まいにかかる総額」で考えることが大切です。

 

「借りられる金額」と「返せる金額」は違う

金融機関が提示する住宅ローンの借入可能額は、年収や勤務年数、ほかの借入状況などをもとに計算されます。しかし、借入可能額の上限まで借りても、家計に無理がないとは限りません。

同じ年収でも、子どもの人数、教育方針、自動車の保有、趣味、親への支援などによって、毎月住宅に充てられる金額は異なります。教職員は比較的収入が安定していると見られやすい一方、将来の家族構成や働き方、勤務地の変化まで含めて考える必要があります。

大切なのは、「いくら借りられるか」ではなく、「教育費や老後資金を準備しながら、毎月いくらなら無理なく返せるか」という視点です。

 

毎月かかるのは住宅ローンだけではない

新築マンションでは、住宅ローン返済に加えて、毎月次のような費用が必要になります。

・管理費
・修繕積立金
・駐車場や駐輪場の使用料
・インターネットなどの利用料
・固定資産税、都市計画税
・火災保険、地震保険
・電気、暖房、給湯などの光熱費

例えば、住宅ローンの返済額だけなら現在の家賃と同程度でも、管理費や修繕積立金、駐車場代を加えると、毎月の負担が想定以上に増えることがあります。

また、修繕積立金は、将来の大規模修繕に備えるためのお金です。新築時には負担を抑えて設定され、数年後から段階的に引き上げられる計画になっている場合もあります。現在の金額だけでなく、将来どの程度増える予定なのかを長期修繕計画で確認しましょう。

 

 

購入時には「諸費用」も必要

新築マンションの購入時には、物件価格とは別に、住宅ローンの事務手数料や保証料、登記費用、火災・地震保険料、修繕積立基金などがかかります。さらに、引っ越し代、家具・家電の購入費、カーテンや照明、有料オプション工事の費用も見込んでおかなければなりません。

モデルルームを見ると、収納設備や食器棚、照明、内装などが魅力的に感じられます。しかし、展示されているものがすべて標準仕様とは限りません。有料オプションを追加するうちに、当初の予算を大きく超えてしまうこともあります。契約前に「標準仕様に含まれるもの」と「別途費用が必要なもの」を確認しましょう。

 

頭金を入れ過ぎないことも大切

住宅ローンを減らすために、貯蓄の多くを頭金に充てたいと考える方もいます。しかし、購入後の手元資金が少なくなると、病気や休職、車の買い替え、教育費の増加など、予期しない支出に対応できません。

入居後に家具や家電の購入が重なったり、共働き世帯で育児休業などによって一時的に収入が減ったりする可能性もあります。頭金を決める際は、購入後も一定の生活予備資金を残しておくことが大切です。

 

ボーナス返済と退職時の残高を確認する

ボーナス返済を利用すると毎月の返済額を抑えられますが、将来も現在と同じ水準のボーナスが続くとは限りません。ボーナスを前提とし過ぎず、毎月の収入で返済できる計画を基本にすると安心です。

また、「何歳まで返済が続くのか」「退職時にローンがいくら残るのか」も必ず確認しましょう。退職金ですべて返済する計画は、老後の生活資金を減らすことにつながります。繰上返済をする場合も、教育費や老後資金とのバランスを考える必要があります。

 

購入前に家計全体を点検しましょう

資金計画を立てるときは、現在の家賃と住宅ローン返済額だけを比較するのではなく、次の項目を整理してみましょう。

1.住宅ローン以外の毎月の住居費
2.購入時に必要となる諸費用
3.教育費や車の購入など将来の大きな支出
4.収入が一時的に減少した場合の返済余力
5.退職時のローン残高と老後資金

新築マンションの購入は、長期間にわたる家計の選択です。希望する物件に合わせて予算を増やすのではなく、まず家計から無理のない予算を決め、その範囲で物件を選ぶことが後悔を防ぎます。

住宅アドバイザーへの相談では、物件の選び方だけでなく、購入後の生活まで見据えた資金計画についても確認できます。気になるマンションが見つかった段階ではなく、物件探しを始める前に相談することで、ご自身の家計に合った購入予算を整理しやすくなります。

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